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御料車-第7号
大正天皇「即位の御大礼」に伴う御召列車運行に際し、当時の営業車輌に比べて旧さを隠しえなかった明治の御料車ではと、鉄道院で御料車2輌の新造計画が立ち上がりました。
まず天皇・皇后陛下用としてこの「第7号」、皇后陛下用として「第8号」、翌2年には付随の食堂車として「第9号」、さらには御神体移送の為の「賢所乗御車」が加わって計4輌もの製作が発表されました。

新造される第7号では後の御料車に引き継がれることになる新しいスタイルが随所に取り入れられました。
御座所を中心として左右対称に窓を配し各所に錨金や装飾を施した外観美は、さすがに御料車中随一と言われた第6号のスタイルを引き継いでますが、これまであった御座所両端の陛下専用出入口を廃し、両端に設けられた戸には大きな2枚の観音開きの折戸が採用されています。(この折戸は昭和の1号御料車まで引き継がれています。)
また、外板腰部を飾る「雷紋」の紋様も後の8号・9号・賢所乗御車に施されています。
御座所の内装もやはり第6号の流れを汲むものながら、皇后陛下の御乗用にも配慮して一層華麗な装飾が施されています。川島織物の創業者・川島甚兵衛による綴錦、紹美英之助の螺鈿、無形文化財保持の名工・片岡照三郎(後の片岡華江)の蒔絵、宮内省御用品の名工・河面冬山の漆芸などがその技を尽くしました。

なお、昭和3年の昭和天皇の「即位の御大礼」に予備車として化粧直しした際に特徴の「雷紋」は消されて金の線模様になったまま廃車され、一時は雨ざらしにまでされてすっかり御料車らしからぬ風体となったものの、昭和41年の読売ランドへの展示にともなって再度化粧直しが施され、運良く大井工場に残っていた製造時のものと思われる雷紋の型金を使用してほぼ新製時の姿に復元され、現在その美しい姿を見ることが出来ます。

御座所中央上部に金箔で描かれた「御紋と鳳凰」

腰部の雷紋

現在の妻面下部。自動連結器が装備されていますが、新製当時は螺旋連結器でした。
用途 : ・大正天皇御乗用
製造年 : 大正3年11月 製造所 : 新橋工場
(現大井工場)
形式 : 木製3軸車ボギー車 台車 : 3軸ボギー
外寸(mm) : 20677(20295)×2591×3778 自重 : 35.35t
特記 ブレーキ装置無し
製造費:61,525円(現在の貨幣価値でおよそ7,340万円)
・昭和10年12月に廃車
・昭和42年10月鉄道記念物に指定
・昭和27年9月〜昭和38年10月 交通博物館に展示
・昭和41年9月〜読売ランドに展示
・現在:鉄道博物館に展示・保管